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がんについて 49

―癌学会とがん予防3―

癌学会では、「がんは予防が大切」と繰り返し強調された。一方で、がん研究に対する支援体制の不備も指摘され、特に費用面でのバックアップを望む声が高かった。もともと研究というのは、ある結果を期待して進められるものだが、画期的な発見がしょっちゅうあるわけではなく思うような結果が出ないことも多いものだ。しかし国費なり研究費なりを使ってのことだから、それなりの効果を期待するのも当然のこと、特に死亡原因の一位を占めるがん研究については、国民の熱い想いが寄せられている。がんを薬で予防する、という考え方もある。アメリカでは乳がん予防薬として「タモキシフェリン」が認可され、以後日本でも化学予防として予防薬の研究が盛んになってきた。学会でも、牛乳中の「ラクトフェリン」や「レチノイド」による肝臓がんの予防効果を期待する報告があり、注目を浴びた。同時にこのような予防的な薬は保険適応がないので、がん予防薬として普及させるためには、保険の対象になるよう、つまり国民の自己負担が少なくてもいいようにすべき、との声もあがった。現在の日本の医療保険制度は、病院内の医療行為を念頭に作られたものであるから、予防という「病気にならないため」の適応はほとんど考えられていない。あくまで対象は「病人」であり、「健康人」ではない。残念ながら昨今の日本の財政状況から、新たに保険適応項目として承認が下りることは極めて困難になっており、予防薬についてもあまり期待はできないのが現実である。改めて考えれば、「治療する」のは主に「医師」であるが、「予防する」のは国民ひとりひとりである。がんを予防しようと願うのは研究者ではなく、国民の思いだろう。とすれば何でもかんでも保険適応で、あるいは研究費でというのではなく、国民自身がある程度の負担をするのはむしろ当然ではないだろうか。予防の重要性を認識し、あらゆる手段を講じてがんに立ち向かうのは学会や国ではなく国民のはずである。しかも、がんは遺伝子の病気であるとはいえ、その発症には生活習慣が深く関与していることからも、生活習慣の改善イコールがん予防であることに異論はないだろう。生活習慣を見直すのは国民であり、それをサポートするのが専門家や予防薬であるという視点を持つべきだと思うのだが、そういった姿勢や発言はあまり見受けられなかったように思う。国民医療費を抑えるために窓口で払う自己負担は益々増えていくようだ。厚生行政側の「痛み」なしに国民にだけ負担を求める傾向は許せないが、予防の主役は国民である、といった観点からいえば「予防」については従来の枠内で考えるべきではない。何しろ国民がその気になれば、生活習慣改善にはお金をかけなくてもすむことを忘れてはならないと思う。