日本の医療・福祉・健康を考える 医学博士・医学ジャーナリスト 植田美津江のホームページ

医学博士・医学ジャーナリスト 植田美津江 新聞連載記事 雑誌連載記事 植田美津江の一刀両断 著作 論文 その他活動 お問い合わせ サイトマップ 医学博士・医学ジャーナリスト 植田美津江 トップページ

がんについて 56

がんを知りたい、よくある質問1

がんや生活習慣病について、あちこちで話をする機会がある。約1時間から1時間半にわたって、がんの動向、原因、治療、がんをめぐる社会の変化、がんの予防等に関してスライドを交えながら話をした後、ほとんど必ず質問の時間を取ることにしている。今回は、そういう時によく出る質問を取り上げ、それに対する回答も合わせて紹介してみたいと思う。

質問その1

「(女性の死亡原因としては胃がんが多く、次いで大腸がんであり、大腸がんの一番の予防は便秘を解消することである、と話したことに対し)、私は昔から便秘気味で、困っています。このままだと大腸がんになるのでは、と心配になります」

回答「便秘と一口にいいますが、本当に便秘なのでしょうか。たとえ毎日出なくても、3日に1回の頻度であっても十分量の排便があり、形や硬さも程よく、しかもおなかがすっきりするのなら便秘とはいいません」、こう答えたあと、じっくり排便習慣を尋ねると、案の定毎日便が出ないことを即便秘と勘違いしている場合が多いものだ。本当に便秘といえるケースなら、食生活を具体的に聞きながら、繊維の多い食事や水分を摂るように勧める。

質問その2

「タバコは本当に体にいけないのか」、これは、喫煙者が会場にいる限り必ず出てくる質問のひとつ。スライドを用いながら、タバコの害や発がんに及ぼす影響について話したことに対するもの。

回答「いけません。しかし、私は無理にやめろと言っているわけではありません。非常に特殊な例であっても、タバコを吸っていながら健康な人が存在する限りは、なかなか禁煙は難しいでしょう。でもやめるに越したことはありませんから、あとは自分の判断と選択の問題です」時に、タバコの一利を求めてしつこく尋ねる人があり、そういうときには「稀にタバコを吸っていてもがんにならない遺伝子を持つ人がいますから、自分はその遺伝子を持っているのだと信じ込んで吸い続けるのも人生です」と言ったりする。すると、たいていは爆笑のうちに場がなごむ。

質問その3

「健康食品は、本当にいいのでしょうか」、こういう場合は、実に様々な健康食品の名が登場する。講演会に足を運ぶ人は、もともと健康に関心のある人が多いために避けられない質問のひとつ。

回答「健康食品だけでがんにならない、がんが治った、ということはあり得ませんが、長く続けることによって、風邪をひきにくくなった、疲れにくくなったといった効果はあります。おのずとがんに対する免疫力にも期待が持てます。健康食品のポイントは、元気なうちから摂り入れ始める、自分にとっていいと信じて摂る、質のいいものを選ぶ、などです」このように述べると、必ず「いい健康食品」と「悪い健康食品」の見分け方を教えて欲しい、と言う。この質問は非常に回答が難しいので、次回のこの欄で再び触れることにしたいと思う。