医学博士・医学ジャーナリスト
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植田 美津恵
日本の医療・福祉・健康を考える

Production著作/論文

コラム「がんについて」コラム「がんについて」の連載。

12月18日 「がん」について 57
がんを知りたい よくある質問2

質問その4
「健康食品の見分け方について教えて欲しい」

この種の質問に対する回答は、
「見分けられません」といういたってシンプルで素っ気無いものになってしまう。

私自身、健康に関心のある人々の役に立ちたいと切に思っていても、現在世間に流通している健康食品の「質」を云々することはほとんど不可能である。そもそも、健康食品といったとき何をイメージするだろう。青汁・ウコン・田七人参・アロエ・キトサン・霊芝・ローヤルゼリーなどなど、人気が出ては消えていきつつも、しかしいつの間にか定番となっているものから、プロポリスやアガリスクなど比較的新しく出てきたものまで、それはもう数多く頭に浮かぶ。しかも、健康食品を扱う企業は山ほどあり、各メーカーの質を比較することは大変に難しい。ここは、わが身を実験台と考え、ひとまず試してみて何となく体の調子がいいと思ったら自分に合っているのだろうと判断するしかない。しかし、健康食品の効果は即効ではないから、しばらく根気よく摂り続けることが必要である。もっと大事でな点は、「これはいい」と信じることで、半信半疑ならわざわざお金をはたいて健康食品を入手する必要もないだろう。西洋医学中心の教育を受けた医師らの多くは健康食品に否定的だが、その根拠もあやふやであるから、頭から健康食品を否定する医師こそかえって信用ならない、というときもある。

質問その5
「がんは遺伝するのか」

この回答はけっこうややこしい。「がんは遺伝子の病気」だが「遺伝はしない」。しかし、がんの発症は環境要因が影響しているために、食生活をはじめとした生活環境が似ている肉親と同じがんになることは多いにありうる。時に家族性腫瘍といって、同じがんが家族内に集中して発生する状態を示すケースもあるが、これは非常に稀である。もはや三人にひとりががんで死亡する時代である事実を考えると、ある年齢に達したら遺伝を気にしすぎるよりも、生活環境を振り返ってみたほうがいいだろう。

この回答はけっこうややこしい。
「がんは遺伝子の病気」だが「遺伝はしない」。

しかし、がんの発症は環境要因が影響しているために、食生活をはじめとした生活環境が似ている肉親と同じがんになることは多いにありうる。時に家族性腫瘍といって、同じがんが家族内に集中して発生する状態を示すケースもあるが、これは非常に稀である。もはや三人にひとりががんで死亡する時代である事実を考えると、ある年齢に達したら遺伝を気にしすぎるよりも、生活環境を振り返ってみたほうがいいだろう。

質問その6
「がんの手術をしてから四年経過したが、もう再発はしないのか」

講演会には、すでにがんを経験した人が参加することも多いにある。

こういうときは極々教科書的な回答になってしまうが、
がんの治療後五年経ったら「治癒」とみなされるため、五年を一つの区切りと考えていいだろう、と話す。

質問その7
「一度がんになった人はもうがんにならないのか」

この種の質問には注意が必要で、淡々と話をしているように見えてもまさしく当の本人の事例である可能性も高い。

一度がんになっても再びがんになるケースは増えているのだが、
質問者の心情を図りつつ表現を工夫して回答しなければならない質問のひとつである。

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